サケのお話

 もう北海道もすっかり秋色に染まってきて、朝晩の冷え込みは厳しさを増してきた。台風の

影響で街を彩る木々はなぎ倒され、北海道の被害総額は400億円近いそうだ。いやな空気が

流れている北海道ではあるが、秋の北海道というのは実にたくさんの魅力があるものだ。

 景色で言えば紅葉。日本で最も早く紅葉し、紅葉前線は北海道から順に下っていく。この

時期は森の動物たちも冬のために餌を蓄えるのに躍起になっていて、盛んに動き回ってい

る。

 食で言えばこの時期は様々な食べ物が並ぶ。その代表格がサケであろう。


 サケは晩夏から秋にかけて北海道、東北沿岸、さらには関東方面にまで遡上する魚で、

約4年の歳月を経て生まれた川に戻ってくる。大きさは50cm〜1m以上と幅広い。多いのは

70前後だ。サケは主に銀毛・ブナ・三色の3つに主に分類される。銀毛というのは、まだ遡

上の準備に入っていないもので、体は文字通り銀色をしていて、脂ものっており非常にうま

い。ブナは遡上の段階に入りつつある、もしくは入ったもので、体表に紫色っぽい縦の模様が

入る。三色というのは完璧に遡上の態勢が整ったもので、体は赤っぽくなり、ブナの色も濃く

なり、オスは鼻がぐんとひん曲がる。商品価値としては当然銀毛が一番だ。当然のごとく

イクラを持つメスも高くなる。

  そして近年話題を集めているのが鮭児であろう。鮭児は約2年で戻ってきてしまう未成熟

の鮭で、まれに大人の群れに混じってやってくる。なぜこの鮭児がおいしいと言われるのかと

いうと、この時期はまだ精巣や卵巣ができあがっていなく、そこに栄養を取られることもないの

で、身のほうに栄養がいきわたり、脂が乗っているのだ。

 それだけではなく、最近ではサケをブランド化しPRしているところもある。銀聖という名前で

それなりに値が張っているのだが、名前負けしないほどの銀色の魚体にしっかりとのった脂

が食欲をそそる。


一般的に遡上魚というのは、陸封と降海とで名前が異なることが多い。その例を少し挙げて

おくので、知らなかった人は参考に。左が陸封で、右が降海だ。

ヒメマス(チップ)→ベニサケ

エゾイワナ→アメマス

ヤマメ→サクラマス

アマゴ→サツキマス

ニジマス→スティールヘッド

オショロコマ→ドリーバーデン

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